Audible(オーディブル)で『黄色い家』を聞いた感想

4. 趣味

 以前から気になっていて川上未映子さんの『黄色い家』を読みたいと思っていましたが、今回は本を読むのではなく、聞くというAmazonのサービス「オーディブル」を活用して読み(聞き)ましたので、この本の感想文とオーディブルのレビューも含めて語りたいと思います。

これは読書革命だ

 本を読むのではなく聞くというAmazonのこのサービスが気になっていましたが、頭の硬い私は、「本は活字を追って読んでこそが読書であり、聞くなんて邪道である」と思っていました。文字から情報を読み取るからこそ脳の記憶に残り、それが読書体験となって自分のためになるのだと考えていました。しかし、「オーディブル」を体験してこの考えは違うのではないかと感じました。まず、脳への記憶に関しては活字を読むことと遜色ないと感じました。いや、むしろ耳から聞いた方が記憶に残るのではないかと思ったほどです。もちろん、何か作業しながらのいわゆる「ながら聞き」ではダメでしょうが、しっかりと集中して聞く分には何ら問題ないようです。

 今回は文学小説を聞いたわけですが、本を読む読書スタイルよりも、結果的に楽しめました。その1番の要因は、ナレーターさんによる感情の表現です。小説では登場人物のセリフがあります。そこには、喜怒哀楽があるのですが、文字から読み取る感情表現と実際にナレーターが感情を込めて読み上げているのでは、明らかに聞いている方が深く感情を読み取れます。特に、嗚咽をしている場面などでは圧倒的です。つまり、オーディブルはただ単に文字を読み上げているのではなく、聞いている読者が深く物語に入れるようにナレーターさんが感情豊かに朗読してくれているのです。まるでラジオドラマを聴いているような感覚で、本当に楽しく聞けました。

 ただ、朗読を聞いているよりも、活字を追って読んだ方がスピードは早いです。私などは速読は苦手でなかなか早く読めないタチなのですが、それでも、自分で読んだ方が早いと感じました。今回聞いた『黄色い家』はトータルで19時間ありましたが、さすがに本で読んだらここまでは掛からないと思います。ただし、これは等速での時間ですが、オーディブルの機能で読み上げ速度を自由に変えられます。時間短縮したければ速度を上げれば良いのですが、あまり上げ過ぎるとせっかくのナレーターさんの表現力を殺してしまうことになるので、そこそこにしておくのが良さそうです。私は今回、1.3倍速で聞きましたが、感情表現もしっかりと伝わってきて最後まで楽しめ、時間もおよそ14時間くらいで聞き終わりました。

 オーディブルは初体験でしたが、これは読書革命だと思います。読書好きな人でも、日常生活上でなかなか読書に時間を取れないという方がたくさんいると思います。しかし、このオーディブルを活用することによって、例えば満員電車の車中では本は読みづらいですが、イヤホンだけあれば通勤時間に好きな本が読め(聞け)ますし、キッチンでの料理中に読む(聞く)こともできます。本を手に持つことなく、隙間時間を利用して読書ができるなんて凄いです。ドラマを観ているのとは違う、本を読んでいるのとも違う。この新感覚はまさに革命ですよ。
 とても素晴らしいサービスだと思いますが、一つ残念なのがこのオーディブルは音声のみで文章はありません。なので、文字を追いながらナレーターを聞くということができないのです。これが出来たらもっといいのですが、どうしてもやりたかったら本を別に用意する必要があります。

黄色い家の感想

 このオーディブルをiPhoneにインストールして、まずは阿刀田高さんを検索して、「冷蔵庫より愛を込めて」を聞きました。そして、夏目漱石さんの「夢十夜」の第三夜を聞いたあとに、前からずっと読んでみようと思っていた川上未映子さんの『黄色い家』を検索してみると、なんとあるじゃないですか🤩
 この本の初発行は2023年2月、こんなに新しい本が聞き放題にあるなんてと驚きました。時間は19時間とあったので少々怯みましたが聞き始めました。以前に読んだ(こちらは読書で)川上未映子さんの「夏物語」は、正直イマイチ面白くなかったのですが、こちら『黄色い家』は‥‥もう最高に面白かったです。久しぶりに良本に当たりました🤩

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 ストーリーは、ネタバレになるからざっくりとですが、お金に苦労している10代の少女「伊藤花」と中年女性の「黄美子」が出会い、やがて、ふたりでスナック「れもん」を三軒茶屋で開業する。そして、やはり10代の少女である「蘭」と「桃子」と出会い、4人は一軒家「黄色い家」に住むことになる。しかし、「れもん」は火事になり閉店してしまい、収入を得るためのヤクザのシノギに手を出すことになるが‥‥といった内容です。
 主人公の「花」と中年女性「黄美子さん」との出会いと信頼関係、そしてラストの再会がこの本の肝です。読み終えた時、何とも言えない切ない気持ちになりました。詳細には書けませんが、優しさは切なさでもあるんですよ😭
 
 もう絶対おすすめです、男性でも女性でも、小説好きの人は必ず読むべきと推しておきます😎
そして、私としては本よりオーディブルで聞くことを強く勧めます。喜怒哀楽が結構激しい小説なので、ナレーターの大内櫻子さんのナレーションが凄まじく良い感じです。聞いていると場面場面が頭の中にしっかりと描写されて、物語に深く入っていけます。

 さて、次は何を読もう(聞こう)かな〜

かしこ

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