iFi audioのフラグシップモデル、iDSD Valkyrieをレビュー

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 イギリスのオーディオメーカーであるiFi audioより発売された、ポータブルDAC/ヘッドホンアンプのフラグシップモデル『iDSD Valkyrie』を購入して約3ヶ月経ちましたので、レビューを語りたいと思います。

 わたしのポータブルヘッドホンアンプの環境は、ソニーのウォークマン「NW-WM1AM2」を2年ほど使ってきました。このアンプはとても綺麗な音質で気に入っていたのですが、出力が弱くて、パワーを要するイヤホンやヘッドホンではややもたついた音になってしまうので、どんなイヤホンやヘッドホンでも鳴らし切れるハイパワーのアンプを求めていました。そこで、今回発売されたこの『iDSD Valkyrie』は、最大5,700 mWの出力と定格2,258 mWの出力ということで、どんなイヤホンやヘッドホンも余裕で駆動でき、かつ、最高の音質で音楽が楽しめそうだということで、今年4月11日の発売日に秋葉原eイヤホンで購入しました。価格は297,000円だったので、かなり思い切った買い物です。オーディオ関連の単体商品としては過去最高額となります。

まずは機能を簡単に紹介します。

1.iDSD Valkyrieの心臓部にはK2HDテクノロジーが搭載されています。これは、デジタル化の際に通常失われる豊かで自然な倍音・高音域を拡張することで復元し、オリジナル・マスターにより近い状態の音質を再現するというJVCケンウッドの技術です。「K2」モードと「K2HD」モードの2つがありますが、「K2HD」は後述のデジタルフィルター「GTO」でしか作動しません。他のデジタルフィルターはすべて「K2」モードでの作動になります。K2とK2HDはいずれも、22kHzを超える自然な倍音と高音域を復元し、最終的にオリジナル・マスターに近い音質を実現します。

2.iDSD Valkyrieは6種類のデジタルフィルターを搭載しており、その効果は以下の通りです。

A. Bit Perfect:デジタルフィルタリングなし、プリ/ポストリンギングなし。

B.  Standard:控えめなフィルタリング、控えめなプリリンギングおよびポストリンギング。

C.  Minimum:最小位相、スローロールオフ、最小プリリンギングおよびポストリンギング。

D.  GTO:352.8/384kHzにアップサンプリング、最小フィルタリング、プリリンギングなし、ポストリンギング最小。

E.  Apodising:控えめなフィルタリング、プリリンギングなし、控えめなポストリンギング、128タップ。

F.  Transient Aligned:最大フィルタリング、最大プリリンギング、最大ポストリンギング、16,384タップ。

3.DSD設定は、DSD512またはDSD1024にリマスターするオプションがあります。DSD512は704.8kHz/24bit、DSD1024は1.4MHz/24bitです。

4.iDSD Valkyrieは「XBassII」「XPresence」「XSpace」といったiFi独自の高度なアナログ・プロセッシング機能があります。効果は以下の3種類です。

A. XSpace:サウンドステージを拡大し、スピーカーで聴いているような、ゆったりとしたリスニング環境を作り出します。

B. XBassII:オープンバック型ヘッドホンでは失われた低音域を復元し、クローズドバック型ヘッドホンではより深く充実した低音域を実現します。

C. XPresence:ミッドレンジとヴォーカルを前に出し、ヴォーカルの明瞭度と存在感を高めて、より魅力的で目の前に存在するかのようなサウンドを実現します。

5.5,000mAhの21700型リチウムイオンバッテリーが4つ、合計20,000mAhという巨大なバッテリーが搭載されています。連続使用時間は約18時間。

以上が、『iDSD Valkyrie』に備わっている機能になります。ここでは、簡単な説明だけなので、詳細に知りたい方はメーカーサイトをご参照ください。
わたしとしては、K2HDテクノロジーの「K2」モードはオンにしています。スタジオ録音時に失われてしまった倍音や超高音を再現して、アナログの温かみがある音質にするというのは、かなり惹かれます。

デザインよし、バッテリー持ちよし

上面に液晶パネル。必要な情報が表示される。

 『iDSD Valkyrie』はポータブルDAC/ヘッドホンアンプということですが、サイズ的にはかなり大きいです。iPhone等とUSB-Cケーブルで繋げれば、たしかに外で音楽を聴くことはできますが、実際の使用環境は据え置きヘッドホンアンプと考えて間違いないと思います。わたしはiMacとUSB-Cケーブルで繋いで使っています。USB-Cケーブル端子は、デジタル信号入力と充電専用の2口が背面に備わっています。設定でデジタル信号と充電を一つにできるようですが、わたしは過充電が嫌なので、分けて使っています。バッテリーの持ちは、公称通りかなり持ちます。体感15時間くらいは持っている感じです。充電中はそれなりに本体が熱くなるので、必要な時のみ充電するのが吉だと思います。

 個人的にデザインはかなり気に入っています。「Valkyrie」という「強く神秘的な女性戦士」というイメージにぴったりです。縦の長さはなく、平べったいサイズなので、PCデスクにとてもマッチします。デジタル信号の状態や音量等は、上面パネルに映し出されていますが、こちらもシンプルでありながら、必要な情報がしっかりと表示されているので、確認がしやすいです。ボリュームダイヤルは軽くカチカチと回るタイプなのですが、これはもう少し抵抗があるタイプの方が個人的には好みです。

 次のページで実際のレビューを書きますが、設定は、「K2」モードはオン、デジタルフィルターはBit Perfectを選択、DSD設定はせずにPCM音源、その他のオプションはすべてオフとしています。

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