本日、ある不動産の仲介業が無事に完了しました。
わたしは不動産業者なのですが、不動産売買が完遂するまでには、色々と大変なことがあります。今回は、これについて語ります。
不動産売買業では、建売をしたり、土地売買をしたりし、自社で販売したり、今回のように仲介したりしています。近年では、ほとんど土地売買をメインにしています。一つの不動産売買が成立するまで、契約前の準備をし、契約を交わし、そして、決済日を迎え、目的不動産の所有権移転登記という流れになります。
わたしは、まったくの未経験の30代から不動産業に携わり、かれこれ20年は携わってきましたが、いまだに不動産売買は苦手です。なんといっても超高額の売買ですから、毎度毎度たいへん緊張します。入社当時は逆に、金額が高すぎて売買している実感が掴めないほどでした。それと、この仕事はかなりのリスクを背負います。たとえば、戸建て10戸現場の土地を仕入れる時に、1戸あたりの想定販売価格を誤ると大変なことになります。なので、相場がわかっている地域の不動産しか、そうそう手を出せません。それと、売れ残りが発生してもまずいです。少しの間ならまだいいのですが、長期にわたって売れないと、とてもキツイです。
不動産売買では、基本的にミスは厳禁です。
そんなの当たり前だと思われるかもしれませんが、売買する物件の大小に関わらず、あらゆる調査も必要となるので、これが結構たいへんです。そして、契約時には、重要事項説明書という重要事項を書面で作成し、それをしっかりと買主に伝える義務もあります。その他諸々も含め、一つの不動産売買を無事に完了するまで、物凄いエネルギーを使いますので、心身ともにたいへん疲れます。
今日の売買も、紆余曲折しながら、半年以上かかってようやく成立したわけですが、長かったような短かったような、そんな気持ちです。達成感はありますが、あまり嬉しさはありません。やっと大きなタスクが終わったと思っただけです。
今回は仲介業でしたが、販売業であっても、仕事に対する満足度はあまりないので、わたしはつくづく不動産業は本来肌に合っていないのでしょう。ただ、仕事は仕事なので、当然のことながらきっちりと業務を行っています。
不動産売買とは、つまり、物件の所有者が変わるということです。
今まで、数々の所有権移転に関わってきましたが、これがなんとも言えない不思議な気持ちになります。少し前まで畑だった土地が買われて、そこに家が建つのですが、それだけで町の風景が少し変わります。やがて、その家を買われた方が住み始めますが、この地域に新しい住民が増えるわけです。逆に古家が壊されて駐車場になったり新しい家が建ったりしますが、少し前まであった家がないと、なんだか複雑な気持ちになります。それが、知り合いの家だったりするとなおさらです。
年間に、かなりの棟数を売買している大手不動産業の営業マンなら、こんなことは気にも留めないんでしょうね。つくづく、わたしはこの業界に馴染めません。
かしこ
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