著者:道尾秀介さんの『向日葵の咲かない夏』を読み終えたので、感想を綴ります。実はこの本、6、7年前に一度読んだのですが、とても面白かったので、今回再読することにしました。おおよそのあらすじは覚えていましたが、結構忘れていたので新鮮な気持ちで読めました。
とにかく、読んでいて面白い👍。一場面一場面の描写が分かりやすいので、ほとんど躓くことなく読み続けられます。そして、ストーリー展開がとても面白いので、次が気になってどんどん読み進めました。昨晩までに半分くらいまで読み進めていたのですが、そこから4時間かけて読破しました。途中で中断してしまうことなく読める本は、完全に当たり本です📕
序盤に、この物語の主人公「ミチオ」が同級生の「S君」の首吊り死体を発見したところから話が展開されていきます。序盤から中盤にかけてはミステリー小説を読んでいるような楽しさがあります。結構ハラハラドキドキな場面もあって、とにかく次が気になる展開です。中盤からは、話が歪んで崩れていきますが、ここからがこの本の真骨頂の部分になっていきます。そして、この歪んで崩れ出した内容は、後半にかけてさらに激しさを増していき、いったいどこまで崩れ落ちるのだろうと、読んでいて不安になります。しかし、この不安こそが、読んでいて楽しい要素にもなります。
この物語の主要人物には、主人公の「ミチオ」、妹の「ミカ」、死んだ「S君」、クヌギ林の近くに住む「古瀬泰造」、ミチオの「父母」「トコおばさん」、担任の「岩村先生」、刑事の「谷尾」と「竹梨」がいます。この中でも、キーとなるのは「S君」と「古瀬泰造」です。主人公のミチオは、この二人の嘘を見破っていくのですが、嘘を見破るたびに、物語は音を立てて歪みます。これは読んだ人なら分かる表現だと感じました。
この物語は「嘘」がひとつの定義になっていますが、なんと、ミチオは、我々読者にも「嘘」をついているのです。これがこの『向日葵の咲かない夏』の面白いところであり、凄いところです。こんな小説読んだことありません😵 これは、ぜひ読んで体感してもらいたいです。
ネタバレになるので、詳細は書きませんが、ラストシーンはマジで怖いです。ここで初めて「ああ、この本はダークミステリーだったんだ」と気付かされます。そして、わたしはこのラストシーンが堪らなく好きです。振り返ってみれば、この本のタイトル『向日葵の咲かない夏』は、すでにミステリーを伺わせています。向日葵が咲かない夏なのですから、陽気な夏ではないということですね。
読み終えると、この物語の歪みと崩れが自分の脳内に入ってきて、読者自身を歪ませます。あれはどうだったんだろう?これはこういう事だったのか?と、考察が始まるので、いわゆる考察系の小説なのでしょうが、わたしは正しい解釈はどうでもよくなりました。だって、この物語自体、もしかしたら、すべてがミチオの空想妄想なのかもしれないのだから。そう考えて、ようやく歪みが頭から消えました😅
とにかく、まだ読んでない方は絶対に読んでほしい小説です。面白い小説ってこういうものなのかと感じるはずです。
かしこ
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