著者:綾辻行人さんの「Another」の上下合本版を読み終えたので感想を書きます。綾辻行人さんの本は本の表紙が印象的なのでいつか手にしてみたいと思っていましたが、Kindleで上下合本版が半額セールだったので購入した次第です。このところ、やや難しい本ばかり読んでいたので、久しぶりに小説を読むことになって心躍りながら読みました。
学園ホラー・ミステリー小説ということなので、ライトノベルを読むような軽い感覚で読み進めました。実際、スラスラと読める文章だったので、上下合本版とはいっても、それほど時間がかからずに読み終わりました。難解な内容ではないので、最後まで楽しく読めました。たまには、こういった学園ものもいいなぁと感じました。
主人公の榊原恒一(さかきばらこういち)が、物語の舞台となる夜見山市に引っ越してきて、夜見山北中学校の3年3組に転入するが、そこで、謎めいた少女、見崎鳴(みさきめい)と出会い、とても不思議で奇妙な謎の現象に引き込まれていくといったストーリーだ。内容についてはネタバレになるので割愛する。
上巻が読み終わった時点で、すっかり「Another」の世界観に嵌った。現実離れした内容なので、一見厨二病的な展開ではあるが、それでも先が気になる、そして、どのような結末になるのかが気になる。すっかりとこの物語に引き込まれた。下巻の中盤辺りまで読んで、犯人(あえて犯人としておこう)の目星はついて、実際に、その人物が犯人であった。しかし、この犯人には実は・・・・というオチがある。これが、この小説の肝だと思う。そして、このオチは、途中途中で巧みに伏線が張られていたのだが、私はそこに気づかなかった、まだまだあまいな〜🤣
そう、読み終わったあとに、この伏線の回収がとても楽しめた。絶妙なトリックであり、そして無理のないトリックなので、意地悪な感じはしない。しかし、「そう来たか、すっかりやられた❗️」というスッキリとした気持ちになった。軽く鳥肌が立つオチなので、読後の満足感を味わえた。
思い出だけをきれいにしないで
私はこの本を読み終えて感じたことがある。
昔の楽しかった出来事は、いつまでも大切な思い出として心の中にしまっておく。このことは決して悪いことではないと思うが、しかし、いつまでも思い出の中に浸っているのも考えものだということだ。なぜなら、いつまでもこだわっていると、次のステージに上がるときの障害になってしまうのかもしれないからだ。大切な思い出は、心のタンスの一番奥にしまっておくくらいでちょうどいいのかもしれない。
かしこ

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