ザ・ビートルズ: Get Back レビュー

4. 趣味

ディズニープラスで「ザ・ビートルズ: Get Back」を観たので、今回はこれのレビューです。

まえまえから「ザ・ビートルズ: Get Back」を観たいと思っていて、その機会が掴み切れずにいたのですが、でディズニープラスがなんと初回月額199円で加入できるキャンペーンを実施していたので、早速加入にして鑑賞に至りました。

本来の姿

この映画は三つのパートに分かれていて、1パートで2時間以上あり、全部で8時間弱あるので、見応えはかなりのものです。私はPart1を見た翌日にPart2、3と続けて通覧しましたので、今は頭の中がビートルズだらけです🙂
内容は、ビートルズの最後のライブとなった、伝説のルーフトップ・コンサート行うまでのドキュメンタリーです。ちなみにこの映画のオリジナル版が1970年に映画館で公開されているのですが、今回新たに未公開フィルムと未公開音源を元にして新編集されたものです。私はオリジナル版は観ていないのですが、聞いた話によると、ビートルズのメンバー間で意見が分かれ、ビートルズが解散に向かっていく暗い感じの映画だったそうです。今回の新編集版でも、メンバーの意見の相違で言い争う場面や、ジョージハリスンが一時脱退するシーンはありますが、そんなにメンバー間で邪悪な雰囲気が漂っているわけでもなく、意見を出し合いながら楽曲を作り上げて、時にはふざけ合ったいるシーンも多々あり、和気藹々とした当時のビートルズを観る事ができます。
おそらく、オリジナル版があまりのネガティブな出来だったので、今作はメンバー同士ぶつかり合いながらも、楽曲を作り上げていた本来の姿を観せたくて新編集版をリリースしたのではないでしょうか

指導者不在の中で

この企画の当初の目的は、新曲を作っているシーンをビデオ撮りしてドキュメント映画を作る。新曲を数曲完成させて、しばらく開催していなかったライブをやる。出来た新曲をまとめてニューアルバムを発売する。等々の大掛かりな企画だった様です。
しかし、この頃のビートルズのメンバーは心がバラバラで、なかなか意思疎通が図れず、新曲は数曲出来上がったものの、結局はどれも企画倒れになってしまっています。(ビートルズ解散後にフィルスペクターの手によって編集されアルバム「Let it be」は発売され、映画も公開されましたが)

ポールマッカトニーを中心に、ジョンレノンやリンゴスター、ジョージハリスンに指示するシーンがよくあるのですが、なかなか意見が纏まりません。しまいにはジョージハリスンが脱退してしまい、(すぐに復帰しますが)ジョンレノンもセッションに遅刻してきたりで、うまく事が進まない苦悩が垣間見れます。それにしても、オノヨーコはセッション中でも常にジョンレノンの横にいるので、他のメンバーは鬱陶しかったんじゃないかと思います😩

このプロジェクトの流れ事態をビートルズの四人に全て任されていたみたいで、他のスタッフは殆ど口を出しません。特に、プロデューサーであるジョージマーティンも、ただ見守ってるだけで、ほとんど指示をしていません。もう少し、個性的なビートルズのメンバーなのですから、プロデューサーとし進行を指揮してもいいのではないかと、観ていてつくづく感じました。そしたら、プロジェクトとしてもう少し成功していたのではと思います。

楽曲作成は凄すぎる

楽曲を仕上げていくところは、さすがビートルズという感じで見ていてワクワクしました😄
ポールがベースを奏でながら仮歌を歌い始めると、ジョージがギターを合わせて、リンゴがドラムでリズムを叩き出し、生まれたばかりの曲をどんどん成長させます。そんなシーンがたくさんあって、こうやって曲が出来上がっていくのだなと、ビートルズというバンドの凄さを垣間見れました。
名曲「Don’t Let Me Down」もポールやジョンで意見を出しながら、何度も何度も納得いくまでセッションしています。ちょっとした事でも妥協せずに楽曲を仕上げていく姿は、きっと、ビートルズファンとして堪らないのではないでしょうか。

こういった楽曲完成までの苦労、時にはメンバー同士のぶつかり合いなんかを観ると、普段何気なく聴いているビートルズナンバーが、なんだか凄く高尚なものの様に感じてきました。今回はアルバム「Let it Be」ですが、きっと他のアルバムの楽曲も、こうやって全力で取り掛かって作っていたんだろうなと思うと、またじっくりとビートルズが聴きたくなりました🎧

伝説のルーフトップ・コンサート

最終的にはライブ会場でコンサートを開催する事なく、そしてテレビでライブ中継もすることなく、アップル社のビルの屋上でライブを一回やる事で話はまとまります。
そして、ビートルズ最後のライブである伝説の「ルーフトップ・コンサート」を開催します。
このライブ映像は有名ですから、私も何度か部分的には観た事はありましたが、こうしてノーカットの全編見たのはこれが初めてです。
観ていて胸が熱くなりました。それは、やはりこれがThe Beatlesの最後のライブセッションだという視点で観たからです。
当時のビートルズは、全盛期からするとやや勢いが落ちていた時期だと思いますが、それでも、あのビートルズが久しぶりにライブを開催するとなれば、かなり大きな会場で数カ所に及んで開催できた筈です。それなのに、ビルの屋上で数曲を一回限りのゲリラライブだけで終えてしまった所が、なんとも切ない。会場はビルの屋上ですから、ライブをまともに観れた人は関係者しか居なく、ライブ演奏を聴けたのは近所の住民か、たまたま通りかかった人だけだったと思います。SNSのない時代ですし短い時間だったので、遠くから聴きに来れた人は皆無でしょう。
しかも、近所から騒音の苦情が警察に行き、警察がビルに乗り込んで演奏を中止しろと訴えている中でのライブ。あのスーパーバンドのThe Beatlesのラストライブがこんなものと思うと、私は胸が熱くなると同時に、胸が締め付けられました😭😭😭

この「ザ・ビートルズ: Get Back」を観終わって、最初に感じた想いは「やるせなさ」です。
なぜなら、会場でのライブ演奏は実現できず、アルバムも企画倒れ(発売されたのは解散後)、ドキュメンタリー映画も完全版として公開されたのがなんと2021年ですから。そう考えると、何とも言えない空虚な気持ちになってしまいました。

わたしはビートルズのアルバムの中で一番好きなのは「Let It Be」です。それも2003年発売のネイキット版です。どこが好きかというと、このアルバムにある生演奏のライブ感を感じるからです。
今回の映画を見て、このアルバムに何故ライブ感があるのか知る事ができました。それによって、ますます「Let It Be」が好きになったと思います。

かしこ

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