芥川龍之介の紙の文庫本、「蜘蛛の糸」「羅生門」を読み終えましたので感想を語ります。
古典文学は紙の本で
「蜘蛛の糸」にせよ「羅生門」のせよ、今回で読むの何度目だろう?
最初の読んだのは中学生の時だったと思いますが、よく覚えてません。ただ、古典の文学作品の中でも、芥川龍之介の作品は物語性があって、まるで日本昔ばなしみたいな話が多いので好んで読んでいた記憶はあります。それと、どの作品も短編小説だったので、飽きずに一つの話を読み切れていたのも気に入っていた要因だと思います。
8月に船橋ららぽーとの本屋さんで、「蜘蛛の糸」を紙の本でもう一度読みたいと思って手にした時に、「羅生門」も目に入ったので一緒に買いました。
もちろん、芥川作品は他にもあるのですが、この二作は代表作ですし、これらの小説に収録されている他の作品も結構あったので、芥川ワールドに久しぶりに浸る気持ちで購入しました。
電子書籍化されたものも何回か読みましたが、やはり古典文学は紙の本で読む方が、よりよく作品を味わえます。
夏目漱石、梶井基次郎、森鴎外、宮沢賢治、芥川龍之介、と紙の本で読み直したので、次は太宰治作品も読んでみたいですね。
侘しさこそが芥川流
やはり一番面白かったのは代表作の「蜘蛛の糸」「羅生門」そして「地獄変」でしたが、「鼻」や「芋粥」も味があって好きです。あと「毛利先生」なんかも読んで心に残りました。その他の作品も小粒ながらそれぞれに味わいがあって、楽しく読めました。
どの作品を読んでも、やりきれないような侘しさを感じました。この侘しさこそが芥川作品の見せ所なんだと思います。
現代ですと、鬱になれる鬱作品みたいなものが、本でもアニメでも一定の支持を得ていますが、もしかすると元祖鬱作品は、芥川龍之介の作品なのかもしれません。
「蜘蛛の糸」なんかは救いようのないバットエンドですし、「地獄変」も悲惨なラストですごく鬱です。「羅生門」や「毛利先生」の話も読み終えると心が薄暗くなる様な感覚になりました。
「鼻」や「芋粥」なんかも人の心の浅ましがなんとも恐ろしく、そして侘しく感じました。
今回、この二冊を続け様に読んだせいか、改めて芥川作品の侘しさに思い知らされました🌛
それでも人は「鬱」を求める
私は30代の頃に鬱病を経験しているので、鬱の辛さを知ってますから、絶対に鬱はお断りです。
しかし、鬱アニメの代名詞である「新世紀エヴァンゲリオン」は大好きで、何度も見直したほどです。
きっと、エヴァンゲリオンファンの多くは、あの何とも言えない「鬱」な感じに浸るのが好きなんだと思います。
もしかすると、人は、自分自身が鬱になるのは避けたいが、第三者視点で鬱を見たり感じたりするのは好きなのかもしれません。
それは、怖い話は大好物だけど、実際に怖い体験をするのはNGな感覚に似ています。
一見シンプルな話ですが、人間としての侘しさを深く味わいたい方は、芥川龍之介を読んでみてはいかがでしょうか。
夜12時を回った薄明かりが灯る寝床で、ゆっくりと読んでみて下さい・・・
かしこ
コメント