「同志少女よ、敵を撃て」感想

同志少女よ、敵を撃て 4. 趣味

著者、逢坂冬馬さんの「同志少女よ、敵を撃て」を読み終えたので感想を語りたいと思います。
以前から本屋さんに行った時に気になっていた本で、今回はAmazonの電子書籍版が期間限定で安くなっていたので購入にしました。なんだかんだで、AmazonのKindleは思い切ったセールを偶にやるので、本好きとしてはチェックが欠かせないです😊

それはそれはロシア軍のお話し

本を読み始めるまで知らなかったのですが、この小説はロシア軍VSドイツ軍の第一次世界大戦を背景にしたストーリーで、主人公の少女、セラフィマはロシア軍の狙撃兵という設定です。今現在、ウクライナ危機に直面している世情ですから、タイムリーな内容なので気持ちを入れ込んで読めました。
まず、少女、女性たちが狙撃兵として戦場に参加していることが驚きなのですが、実際にロシアでは戦時中に女性を狙撃兵として訓練し戦場に送り込んでいたそうです。ここはお国柄で、日本の感覚では考えられませんね🧐

主人公であるセラフィマは狙撃兵訓練学校教官長のイリーナと出会い、狙撃兵として教育され戦場で実戦していくというのが大まかな粗筋です。読んでいると、実際に戦場の恐ろしさが凄く伝わってきます。本当に迫撃砲の爆発音が聞こえてくるようで、戦場のリアリティを感じ取れます。戦場では一つ読み違えるとそこに死が待っているという緊張感が凄いです😩

私はゲームの銃撃戦FPS系が結構好きなのですが、その中でもスナイパー職をプレイするのが好きです。敵に気づかれず、遠方から狙撃するのは快感です。でも、この小説を読んだ限りスナイパーは決して気楽な兵役ではなくて、物凄い技術と的に当てる計算が必要だということを知りました。それに、前線の歩兵と同様、常に死が隣り合わせの緊迫感があるということも。

撃つべきは敵である

この小説は、戦場の狙撃兵の厳しさだけを書き上げただけのモノではありません。少女の憤怒、友情、悲嘆、そして恋愛心も少々と描かれていいます。
セラフィマは、戦場で命を落とした仲間達への悲しみや、納得のいかない軍の指揮への反抗を乗り越え、そして、教官イリーナを始めとした狙撃兵の少女たち、戦場で出会った人々と交流しながら様々な心の葛藤を繰り返して、少しずつ人間的に成長していきます。
敵を撃つ。撃つべき相手はもちろん敵国ドイツ兵ナチであることに違いはないのですが、クライマックスシーンでセラフィマは、本当に撃つべき者は誰なのかという問いに答えることになります。(ネタバレになるので明確に書きません)セラフィマが自分の信念を貫いたこの決断こそが、この小説の真のテーマだと言えます。

まるで映画館で戦争映画を観ているような感覚で最後まで楽しく読めました。
ぜひ映画化を希望したです❗️きっと凄い名画になると思います。ただし、ロケ地はロシアで、配役もできるだけロシア人にやってもらいたいですね。他国でやったら雰囲気がぶっ壊れちゃいますから。そうなると現状のロシアを見る限りかなり難しいかな😣

かしこ

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