西寺郷太さんの『プリンス論』を読み終えたので、
今回はこの本の感想文を書きます。

なんか気になる存在「プリンス」

　私がプリンスを知ったのは、アルバム『パープル・レイン』を聴いたのがきっかけでした。
それも発売当時ではなく、洋楽にのめり込み出した1987年前後だったと思います。プリンスという名前は知っていて、とりあえず代表作を聴いておくかと思って聴いたのがこのアルバムでした。聴いてびっくり！とてもノリが良くてギターサウンドが派手、そしてアルバムラストのタイトル曲「パープル・レイン」がとても気に入りました。このアルバムを聴いてますます洋楽の世界に入っていったような記憶があります。そして1987年前後のプリンスの最新作は「サイン・オブ・ザ・タイムス」だったのでレンタルして聴いたのですが、２枚組でなんか長いし、イマイチに感じました。そしてこのアルバムの次に発売されたのが『Lovesexy』。プリンスの裸姿がジャケットになっているこのアルバムは、とても手にする気持ちになりませんでした。だって気持ち悪いもん🤮
でも、このアルバムからもヒット曲が生まれたので、一応聴いておくかとCDをレンタルをしたと思います。でも、このアルバムも当時の私にはそれほど響かなかったので、すぐに聴かなくなりました。
そして次のアルバムは映画バットマンのサントラ『Batman』。これはメチャ刺さった😍
シングル曲「Batdance」と「Partyman」は大好きで夢中になって聴いていました。MTVもとてもお気に入りでした。このアルバムの後も『Diamonds and Pearls』、『Love Symbol Album』、そしてベスト盤と、レンタルせずに続けてCDを買いました。
プリンスのことはそんなに好きなアーティストではなかったのですが、「なんか気になる存在」というのが私のプリンス感です。プリンスの醸し出す「天才肌」のオーラにやられていた感じです。なので、ビルボードチャートにプリンスのシングル曲がランクインするとなんか嬉しく感じてました。

近年はサブスクリプションのお陰で、プリンスのデビュー当時のアルバムや、まだ聴いてなかったアルバムを気軽に聴けます。正直、「これはいい」というのもあれば「なんでこうなった？？」というのもあります。プリンスの作品にはムラがあるというか、ヒット路線の良いアルバムを出した後は、平気でガラクタみたいなアルバムを出すという印象があります。それは「ヒット曲なんて、作ろうと思えばいつでも作れるんだ」みたいな自信があったからなのかもしれません。う〜ん、やっぱり天才だ🤩
プリンスは、特に80年台のアルバムのリリースがとても早くて、まだ、今のアルバム曲がビルボードで順位を上げてる最中、もう次のアルバムを出しに来るので、当時は何を考えているんだと思っていました。プリンスが何かのインタビューで「出来た曲をCDに乗せて出さないと、頭がおかしくなるんだ」と答えていましたので、かなりの多作家だったんだと思います。もしかすると、この多作方法が、時には作品を雑にしていたのかもしれませんね🧐

偉大な音楽家であったプリンス

　この『プリンス論』は実に興味深く読めました。
プリンスが19歳でデビューしてからのエピソードを、アルバム発売の順に克明に書かれています。なので、プリンスのことをもっと知りたいという読者にはドンピシャの本です。
中には知っていた事もありましたが、まったく知らなかった事も書かれていたので、よりプリンス知識が深まりました。
しかし、読み終えて、やはりプリンスは謎めいたアーティストだと改めて感じました。
完成していたアルバムを急遽発売中止にしたり、途中で「プリンス」という名を捨てたり、新作アルバムを新聞の付録にしたりetcetc‥‥ネタバレになりますから明確には書きませんが、かなりの奇想天外な事をしてきたみたいです。まあ、独りよがりで我儘な人だったんだろうことは、プリンスファンなら容易に想像できるでしょうが。
また、筆者もプリンス作品の全てをベタ褒めしていなく、気に入らないアルバムをダメ出ししているところに共感しました。何でも凄い！素晴らしい！では嘘っぽいですからね。やはり良くないものは良くないですもんね🙄
ただ読み終えて少々切ない気持ちになりました。
それというのは、この本は2015年に書き終えて出版されています。つまり、プリンスがまだ元気に活動していた時期に書かれた本なのです。著者である西寺郷太さんはプリンスの大ファンであるということは、この本からひしひしと伝わってくるだけに、プリンスが2016年に急死した時のショックは相当なものだった筈なので、その事を思うと切ないです。
プリンスが、もし今も生きていたら、どんなアルバムを我々ファンに聴かせてくれていたのかと考えると、とても哀しく寂しいです😔

かしこ