著者、江戸川乱歩の『孤島の鬼』を読み終えたので感想を語りたいと思います。
江戸川乱歩の小説を読んだのは小学生以来だと思います。たしか読んだのは怪人二十面相関連だったと思います。面白かった記憶は薄らとあるのですが、どんな風に描かれた文章だったかは覚えてないので、今回こうして江戸川乱歩の作品を手にする事になって良かったです。
独特の語り方
江戸川乱歩の文章はどんなだったか覚えてないと書きましたが、読んでいるうちに思い出してきました。なんと言いますか、読者の冒険心を掻き立てるような文だと思います。
自分が小説の世界に入り込んで、主人公の視点でこの世界を見ているかの様な感覚です。
なので、読んでいてとても楽しいです。冒険心旺盛な少年時代に戻ったかのような感じになりました。私が小学生の当時、大人が江戸川乱歩の本を読むように推奨していたのが分かるような気がします。
相関関係の面白さ
この小説はざっくり分けて2章に分かれています。
始めのうちは鎌倉付近(?)での話し、そして舞台は紀伊半島の沖の孤島にある岩屋島と移ります。
ストーリーは、主人公である蓑浦が過去に起こった事件を語るという作風で幕を開け、蓑浦の周りで起こった奇怪な殺人事件に巻き込まれながらも最後は真相に辿り着くという形で幕を閉じます。
殺人事件が続けて起こるのですが、その殺され方がとても不思議で、いかなる方法で殺されたのかがとても興味深く面白い部分でした。読んでいて真犯人は早めに解るのですが、この物語の面白味は真犯人を推理するところではなく、最後に明かされる、人と人との相関関係にあると感じました。
ネタバレになるので詳細は書きませんが、例えると金田一耕助シリーズの『八つ墓村』のような感じです。
名作ですね
昨今の推理小説のような複雑なトリックや、最後のどんでん返し的な要素はありませんが、読み終えて楽しかったと思える小説でした。
正直、物語の展開には古さを感じましたが(1930年の小説ですから当然ですが)、そこが逆に新鮮に感じました。そして、この話のなかで同性愛が描かれていたのに驚きました。こんな昔から日本でも同性愛の問題があったんだなと思いました。
ラストのラストで、なんともやるせない気持ちになります😢
私的には、この物語のすべてを奪ってしまうほどのインパクトあるラストでした。最後に明かされた人と人との相関関係でイマイチ理解できない部分があったのですが、そんな事どうでも良くなる程の🫨
今になって、江戸川乱歩の小説が読めて良かったです。面白かったので、他の小説も読んでみようと思います!
かしこ
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