個人主義はアメリカへの憧れ?

2. 社会

 今の日本では『個人主義』が持て囃されています。大切にすべきは個人の自由であり、個人の主張や指向を重んじるべきであるという風潮です。私はこの風潮には疑問があり、全面的には支持できません。今回はこれについて語ってみたいと思います。

 いつ頃から『個人主義』が跋扈するようになったのでしょうか❓ 何がきっかけで特に若い世代に浸透していったのでしょうか❓ 正直、私はよく分かりませんが、時期的には西暦2000年に入った頃からではないかと感じてます。私の学生時代は昭和時代でした。中学高校と私は部活に所属していない所謂「帰宅部」でした。高校生の時はともかく、中学生の時は部活に所属していない生徒には、アウトローな視線が刺さっていましたのをよく覚えています。帰宅部の連中は怠け者であり、協調性がない人間であるという風潮がありました。今思い返せば、たしかに帰宅部な人たちは、私を含め自分勝手な生徒が多かったように感じます。クラスで何か行事をやる時に、積極的に関わるのはスポーツ系の部活に所属した生徒が多く、消極的、あるいは無関心だったのは帰宅部の生徒が多かったような気がします。少なくともこの昭和の時代の学校では「協調性」が重んじられており、「個人主義」は宜しくないという教育だったと思います。それは現代の中学高校の教育でも変わっていないと思いますが、やや昔と比べるとトーンダウンしているところがあるかもしれません。クラス全体で一致団結して何かをやり遂げるという空気は、この令和の時代では毛嫌いされていると思います。ましてや、大学生になったらなお一層この傾向が高まり、個人主義者が過半数を占めているかもしれません。

 では、なぜ『個人主義』が好まれるのでしょうか❓ 一つには単純に、集団主義よりも個人主義の方が楽だからだと思います。周りの意見を尊重して、周りに自分を合わせて、周りに気を遣って‥‥という事自体が、ただただ面倒なだけであるという意見があると思います。そして、もう一つは、なによりも自分を大事にする、自分を優先するという思考がトレンドになっているからです。現代の若い世代では、昔と違って、タバコも酒もやらないという人が多いようです。(タバコは高額な嗜好品になったということもありますが)これらには共通して、人との付き合いという側面があります。タバコには喫煙所での特有の仲間意識があり、普段あまり喋らない人とも会話が弾んだりします。酒はまさに、飲み会というイベントに参加することで人との交流を図れますし、酒が入って酔うことによって、意気投合したりすることもよくあることでしょう。しかし、現代ではタバコに関しては完全に「悪」であり、酒も決して身体には良いものではないと厚労省が言い出してきました。今後ますます、これらのコミュニティは減少していくと思います。ちょっとした大人ならではのお付き合いが希薄になり、ますます個人主義を増長させていると感じます。

 『個人主義』はどこから来たのか❓ まず間違いなく欧米志向、特にアメリカ志向からの影響が大きいと思います。欧米人はよく、仕事とプライベートを完全に分けていると言われています。仕事は決められた時間内に終了し、そこからは完全に自分の時間として使うわけです。残業はもちろんなし、上司に付き合って酒を酌み交わすなんて文化はないのです。そして、自分というものをとても重んじて、自己のアイデンティティを最優先にして行動し、自己肯定感を高めた思考を良しとしています。なるほど、これだけ聞くと実にスマートな生活習慣であり、憧れるのも頷けます。逆に、残業をして上司の愚痴に付き合って、自分のことよりも周りとの協調性を重んじる日本人的な文化が少し堅苦しく感じることもあるかもしれません。さらに最近また議論されている選択的夫婦別姓制度についても、アメリカでは結婚後の姓の扱いについては、同姓、複合姓、別姓を自由に選択できます。これもまた、アメリカ志向の表れだと思います。つまり、『個人主義』の根本は自由主義であり、その起源はアメリカへの憧れからきているのかもしれません。

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 自由でありたい❗️ そう願うのは当然のことだと思います。誰だって柵に縛られながら生きていくことを望んだりしないでしょう。しかしながら、自由であるということは、自分に対して責任を持つということでもあります。アイデンティティを守りたいのであれば、そこにはしっかりとした信念も必要になります。自由とワガママと履き違えてはダメです。自分の意見主張を絶対とし、自分の思い通りに事を進めるのは、ただ単に自分勝手で身勝手な独善者でしかありません。そんな人がいくら声高々にアメリカナイズを訴えても、格好悪いだけです。
 私もかなりワガママな性格であり、何方かというと個人主義的なところがありましたが、解脱会の教えを学ばせて頂いているおかげで、人との協調性や家族間の調和の大切さに考えるようになってきました。個人主義のすべてが悪いとは言いませんが、自分のことばかり優先せず、相手のことを思いやれる心になるべきだと思います。それこそが他国よりも秀でた日本文化の宝だと信じます。

かしこ

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