退社代行サービスについて思うこと 〜覚悟と勇気を持とうよ〜

2. 社会

 2010年代後半くらいから出てきた新サービス業『退社代行サービス』。今回はこれについて語りたいと思います。

 いつ頃からだろう?転職がトレンドみたいになってきたのは。大学や専門学校を卒業し、自分で選んだはずの会社・職業が自分には合わなかった。あるいは、社内での人間関係がうまくいかなかった。このような様々な理由で退社する若い世代の人は増えてきているのだが、転職は前向きな選択であり、決して恥じることなどない。だから、転職は有意義な行為であるという風潮になっている。

退社には覚悟と勇気

 しかし、次の就職先をみつけて入社するまでのステップとしてやっておかなければならないことがある。それは、「退社」である。当然だが順番として、まずはこのやっかいな「退社」をしなければならない。退社するにあたって、退職願を自分で書いて会社に、あるいは上司に提出しなければならない。退職願の文章を書くことは何ら難しいことなどないだろう。問題はそこで生まれる会社や上司との軋轢だ。会社側が「はい、そうですか」と感情なく受理してくれれば何の問題もないのだが、世の中そんなに無感情でない。「こんな忙しい時に何言ってんだ💢」や「もう少し、考え直してくれ」などなど、すんなりといかない事がしばしばだろう。だから、退社するのにも、それなりの覚悟と勇気が要されるのだ。

新サービス爆誕!

 そこで生まれてきたのが『退社代行サービス』である。覚悟と勇気が持てない人のために代わって、退社を実行してくれるナイスな新サービスというわけだ。調べてみて、わたしは正直驚いた。何に驚いたかというと、この新サービスを行なっている会社が、すでに100社以上あるということにだ。ものすごい急成長を遂げたサービス業ではないか😦

 この『退社代行サービス』がこれだけの規模になった背景には、退社する人が多いという事であり、そして、自分で退職を完結できない人がかなりいるという事だ。このデータについては、私は調べていないが、そんなもの調べるまでもなく事実だと思う。そうでなければ、こんなにこのサービス業が繁栄するわけないのだから。

 これでますます「転職トレンド」が進むことになるだろう。転職するにあたって、煩わしかった退職を20,000円代で肩代わりしてくれるのだから、こんな楽ちんなことはない。

 しかし、私には疑問がある。どんどん転職するのは結構なことだが、今の会社を辞める理由である。「自分のやりたかった業務と食い違っていたから。」や「いまの仕事では、スキルを伸ばす事ができないから」という理由ならば、応援すべき転職理由であると思う。自分がやりがいを持ってできる業務やスキルを磨ける仕事に就くためには、なるべく若いうちに行動した方が有利である。

 そうではなく、ただ単に、「仕事が辛いから辞めたい。」や「人間関係で躓いた」などの後ろ向きな理由で退職を繰り返すのはいただけない。これらは言ってみれば「逃げ」である。人生、時には逃げるのもいいだろう。しかし、逃げてばかりいたら、いずれは行き詰まることになるということを覚えておいてほしい。例えば、ゲーム「ドラゴンクエスト」を思い出してもらいたい。戦闘から逃げてばかりいたらどうなるだろう❓結果、まったくレベルが上がらないので、もっと強い敵がいるステージに進めない。つまり、人間的成長が止まり行き詰まるということだ。こんな人生は誰も望まないだろう。

昭和生まれが物申す

 私も若かりし頃、退職をした事が何度かあった。しかし、退職をなかなか言い出せなかったことをよく覚えている。いずれも、大変忙しいサービス業だったので、スタッフ1人でも減ると現場が大変なことになると感じていたし、さらには、上司はたいへん怖い人だったので、会社を辞めるとなかなか言い出せず、退職の意思を伝えるまで1ヶ月くらいかかったような記憶がある。

 『退社代行サービス』を活用すれば、このような苦労を味わうことなく、すんなりと退職・転職ができるだろう。だが、ちょっと考えて欲しい。いろんな状況があるから退職を会社や上司に言いづらいのはわかるが、思い切って言ってしまえばそれで終わりだ。退職してしまえば、もう、二度とその会社で働くどころか行くこともないのだから気に病むこともない。たとえ辞めることになったとはいえ、自分で選択した会社なのだから、けじめをつける意味でも、最後に自分の覚悟と勇気を示してもいいのではないか。その方が、次の職場に移る時に清々しい気持ちで進めると思う。飛ぶ鳥跡を濁さずの精神だ。

 自分では言えないこと、言いづらいことを代行してもらうサービス。別に悪くいうつもりはないけど、努力を避ける傾向にあるこの時代が生んだサービス業のような気がする。そのうち、恋人を振るのを代行してくれるサービス業が出てくるかもしれない。

かしこ

コメント

タイトルとURLをコピーしました