NHK特集ドラマの「天城越え」2025版の感想

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 昨日、NHK特集ドラマの「天城越え」を観たので、感想を語りたいと思います。
今作は果たしてどんな感じだったでしょうか。

 その昔にも、この「天城越え」を観たことがあるのですが、その時の大塚ハナ役は田中祐子さんが演じていて、こちらは1983年に放送されたものです。今回初めて気づいたのですが、なんと、この松本清張さん原作の「天城越え」は、NHKドラマで4作品あります。初代は1978年、次が1983年、その次が1998年、そして今作は2025年版です。
 今回は、大塚ハナ役を生田絵梨花さんが演じています。まず、思ったのが、田中祐子さんもよかったのですが、生田絵梨花さんの方が、大塚ハナを上手く演じていると思いました。生田さんの可愛らしさの中にもどこか妖艶さが滲み出ており、遊女としてのハナらしさがありました。

 今回の刑事役は岸谷五朗さんでしたが、ちょっとアクが強いかなと感じました。
とくに最後の方で、大人になった望月次郎に印刷を頼みに行って、望月に、犯人が少年であると告げる場面では、かなりキツめに感じました。ここは遠回しに殺人犯人は、望月さんであると問い詰めながら去るシーンですが、1983年版よりも観ていてハラハラしました。観終わった今では、このシーンはこのドラマでは重要な場面ですが、これくらいキツめの方がいいかなとも感じました。

 そして、望月次郎役(少年役)の末次寿樹さんも、とてもよく演じられていたと思います。自分の母親が商人に体を許している場面を見てしまい、そして、想いを寄せていたハナが土工に抱かれている場面を見てしまったわずか14〜15歳の少年の複雑な気持ちが、スクリーンを通して伝わってきました。あと、自分よりもひと回り以上年が離れた姐さんに惚れてしまうところが、わたしはこのドラマの好きなところですね。少年時代に、綺麗なお姉さんに惚れてしまうその気持ち、よく分かります。
 望月次郎(大人役)もよかったと思います。

 しかし、観ていて思わず、「これはダメだよ」と声を上げてしまったシーンがありました。
それは、ラストの望月次郎がハナに会いに行って再会したシーンです。お互いが次郎とハナであるとわかっていながら、海岸で会話するのですが、ここはいらない、ぜったいにカットすべきシーンだと感じました。しかも、ハナは「運のない人が運のある人の足を引っ張っちゃダメ」なんて台詞を吐くのですが、最後の最後でダメドラマになってしまったと思います。このシーンは1983年版にもあったのでしょうか?
 もしかしたら、あったのかもしれませんが、私の記憶にはないです。もしあったとしても、今作みたいに色濃くしたシーンではなかったと思います。わたしは、松本清張さんの原作小説をまだ読んでないのですが、原作にもこのシーンとこのセリフがあるのかもしれません。でも、ドラマ化にあたり、ここはカットでよかったと思います。
 次郎がハナを求めて、茨城の沿岸部の町を訪れる。しかし、町の名前までは知らないので、当然ハナに会えない。茨城の海を見つめながら、昔二人で楽しく歩いた天城の山を思い出し、涙ぐむ。こう終われば、超名作になったと思うが、どうだろうか。わたしだけかな🤭

 それでも、この「天城越え」は、心に刻まれるような人間模様を描き出した名作ドラマであることに違いない。
今度は、1978年の初代作を観てみようと思う。そして、原作の小説も読んでみようと思う。

かしこ

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