ニューヨーク・ヤンキース、ディビジョンシリーズで敗退 2025

2. 社会

 ブルージェイズ対ヤンキースのディビジョンシリーズ第4戦目で、ヤンキースは負けてしまい、ポストシーズン敗退となった。昨日は、主将ジャッジの値千金のホームランで勝ち、チームも勢いづいたかと思われたが、今日の試合では貧打となり、広がった点差を最後まで詰めることはできなかった。

 先発のキャム・シュリットラーは前回同様にいいピッチングができたと思う。6回を2失点なら合格だ。しかし、心配していた中継ぎが打たれて点差が開いてしまった。それに、打線が弱かった。今のヤンキースらしい破壊力ある打撃は見れず、全体的にしょんぼりとした打線だった。ただ、主将ジャッジひとりは、昨日の劇的なホームランもあってか、今日も活躍していた。だが、周りがついていけなかったようだ。

 ことしのポスト・シーズン全体を振り返ると、やはり、本来の打線の力が弱かったと思う。そんな中、ポスト・シーズンではあまり打てなくなるジャッジが、今年はよく打てていた。これで、ポスト・シーズンの苦手意識は消えたのではないだろうか。

 それと、先発ピッチャーの失点が目についた。マックス・フィールドとカルロス・ロドンは、ディビジョンシリーズで打たれてしまったのは計算違いだった。とくに、マックス・フィールドはワイルドカード・シリーズの初戦でも打たれたので、納得できないところだ。その反面、キャム・シュリットラーは2試合とも素晴らしかったので、来年以降、期待ができそうだ。

 そして、中継ぎ投手陣の脆さが目立った。当初から心配していたように層が薄いので、抑えが効かなかった。ストッパーは、デイビット・ベトナーが安定しているので、先発がマウンドから降りた後、そこまでの繋ぎがうまくいかなかった。今のヤンキースは打撃陣と先発陣は揃っているので、来年以降の大きな課題だろう。中継ぎの柱となる投手を、少なくとも3人は確保したいところだ。どんなに先発陣が揃っていても、試合には勝てないのだ。

 今年のレギュラー・シーズンから振り返ってみてみると、勝てる戦力はそれなりに揃っていたと思う。そして、今年は主要選手の長期離脱もさほどなかったし(先発投手のシュミットは離脱したが)、怪我のため遅れたが、ギルもスタントンも加わることができた。アメリカン・リーグ東部地区での優勝こそは逃したものの、2位で終わりワイルドカード・シリーズには進出できたのだから、まずまずの「強いチーム」ではあったと思う。4、5月のスタートダッシュも成功し、夏場に負け試合が増えたが、レギュラー・シーズンが終幕する前は、怒涛の8連勝で、地区優勝の奪回まで後一歩までつめよったのだから。

 私の今シーズンが始まる前の予想では、ここまで勝てるとは思わなかった。地区優勝はおろかポスト・シーズンに進出できないのではないかとさえ心配していたほどだ。しかし、先発陣では、エースのコールが不在の中、マックス・フィールドもカルロス・ロドンもしっかりと投げてくれて、夏に離脱はしたもののシュミットも期待通りの活躍をしてくれたし、キャム・シュリットラーもいいピッチングをしていた。

 そして、打撃陣では、やはり主将にして主砲のアーロン・ジャッジが一年を通して打ってくれた。ホームランも53本を打ち、打率:.331はリーグの首位打者であり、OPS(出塁率+長打率):1.145もリーグトップの成績だ。本当に素晴らしい成績だった。新加入したベリンジャーはホームラン29本で打率:.272、OPS.814だったので、期待通りの活躍はしてくれたと思う。そして、グリシャムとライスの覚醒は、本当にヤンキース打線の大きな戦力だった。期待を超える活躍だったと思う。

 そんな、「強いチーム」だったヤンキースではあったが、ディビジョンシリーズで散ってしまったわけだ。昨年は優勝こそ逃したがワールド・シリーズまで行けたのに、今年はリーグ・チャンピオン・シリーズにすら進出できなかったのである。昨年は、ソトとスタントンの活躍があったからこそだったが、今年のヤンキースのチームパワーは、昨年ほどなかったということだろう。ブルー・ジェイズは強かったが、どうしょうもないほど強かったとも思えない。ヤンキースの力不足だ。

 16年もワールド・シリーズ優勝から遠ざかってしまった。これは過去の歴史でも1978年から1996年までの18年間優勝できなかった暗黒期につぐワースト2位の長さだ。なんとかこの暗黒期を脱しなければならない。どうしたら本当に強いヤンキースになれるのか?私が思うに、それは選手の意識改革が必要だと思う。ヤンキースには「ピンストライプをまとう重み・伝統」というものがあるが、残念ながら今のヤンキースの選手にはこの意識が見えない。過去の偉大な選手たちが着用した“ピンストライプ”を、現役が引き継ぐという感覚、そして、それを背負うという役割や意識が無いのではないだろうか。少なくとも私にはそう映る。

 また、来年も何れかの補強をして戦力を整えるのだろうが、もはや、いくらお金をかけてチーム作りをしても、それだけではワールド・シリーズを制することはできないような気がしてならない。

かしこ

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