短所を削ると、長所もなくなる 〜中庸の勉強〜

1. 解脱の教え

 人には長所と短所があります。なるべく良いところである長所を生かして、悪いところである短所をなくすのがベターであると言われています。たしかに長所を伸ばすのは良いことですが、短所を削るのが正解なのでしょうか?今回は、これについて語りたいと思います。

 人それぞれの短所にはいろいろな形があって、おしゃべりな人、金遣いが荒い人、すぐに激昂する人、長続きができない人、etc. etc. とあります。これらは、良くないことなのでなるべく改めていくというのが一般的な考え方です。たしかに、悪いところを治していくのは正しい考え方です。

 しかし、例えば、とてもお節介な人がいたとして、周りから嫌われるのを恐れて、あまり人に干渉しなくなったとします。これにより、「お節介」という短所は削ることができますが、この人の良いところである「親切」という長所も同時に消えてしまいます。

 お金にあまり執着しない人は、金遣いが荒いという欠点があります。お金の大事さをよく考えて、計画的にお金を使うようになったとします。金遣いが荒いという短所が抑えられますが、反面、ケチになってしまい人から嫌われることもあります。金の切れ目が縁の切れ目ということです。

 また、強がりな人がいたとして、なんでも強がるのは悪いところだと他人から指摘され、「強がり」という短所を削ったとします。しかし、強がるという行為自体は己の欲求であり、言ってみれば、強がりも素直のうちなのだから、短所を治すと素直さが薄れてしまいます。

 このように、短所を削ると、長所もなくなるという事に繋がります。では、まったく短所は直す必要がないかというと、決してそうではありません。やはり、よくないところは改めるべきです。そうでないと人格は何時まで経っても向上しません。

 解脱の教えに「中庸の勉強」というのがあります。これは、左にも右にも寄り過ぎずに、状況に応じて過不足のない度合いを保つことを指します。

 短所・欠点は、裏を返せば長所にもなり得るのですから、完全に削り取るのではなく、尖った部分だけを削ればいいのではないかと思います。それが、その人の個性でもあるのですから大事にするべきです。

かしこ

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