この本を手にした理由は、この本がベストセラーであることと、タイトルよりも本の表紙で目についた「どうして心は変わるの?」というサブタイトルに興味を覚えたからだ。心というテーマで書かれた本は、私の好物なのでついつい手が伸びる。それでは、著者:東畑開人さんの「カウンセリングとは何か 変化するということ」の感想を語ります。
しかし、どうして心は変わるのかについて、カウンセラーとしてのテクニックが書かれているわけではなかった。カウンセラーがユーザー(患者)に、このようなアドバイスを与え、このような指導をした結果、ユーザーの心はこのように変化を遂げたというエピソードを期待していたわけだが、そのような経過は書かれていない。では、どのようにユーザーのこころが変化していったのか?ここで本書の内容を語るのはルール違反だと思うので伏せておくが、個人的には、ちょっと残念な内容であった。「ええ〜それだけのことなのか😯」という感想だ。 これは、私としては納得できないのだが、もしかしたら、ユーザーの心を変えてあげるのは、これがいちばん重要なことなのかもしれない。と、納得できる部分もある。
カウンセリングが終了するまでに、かなりの年数が掛かるケースがあるようだ。人によっては10年掛かるというのには驚愕した。通院で日数が掛かるというと、歯医者さんを思い浮かべるが、その比ではない。ここで少々疑問が湧いた。これだけ長い期間通院すれば、それだけの労力も掛かるし、何よりも費用がかかる。とくに、費用に関してはかなりの負担になると思う。それでも、最終的に完治すれば報われるが、もし、完治することなく治療を終えてしまったら、かなりの損害が生じるのではないか?
つまり、心のカウンセリングをするうえで、ユーザーはある程度のリスクを負う必要があるのだ。本書にも書かれているが、カウンセラーを選ぶのは賃貸物件を選ぶときと同じで、ネット情報だけで決めるのではなく、実際に一度はお試しで受診して、自分でよく考えてから通院を決めるべきである。
心の病を治療してもらうときに、科学的なカウンセリングを行う、いわゆる病院と、少々怪しげな宗教やスピリチュアルでは、やはり、前者が選ばれるのだろう。しかし、読後の感想としては、どちらも同等のような気がしてきた。一概に、どちらのほうが正しいとは言い切れないと思う。その人の心の病の種類にもよるが、科学系よりも、スピリチュアル系に縋ったほうが良いケースも十分にありえると感じた。
私の学んでいる宗教、解脱会の教えと、科学的なカウンセリングとの大きな違いは、終了があるか無いかである。カウンセリングには、年数が掛かるが終了があるのに対して、解脱会の教えには終了がない。こう言うと、「カウンセリングに通ったほうが、コスパがいい」と感じる方もいるだろうが、心を変えるということは、心の勉強であり、生きている限り心の勉強は続けるべきである。だから、私は、心を変えたい人には堂々と解脱の教えを勧めたい。
最後にこの本を読んで刺さったのは、以下の4つ。
1.回復とは元通りになることではなく、新しい生き方をはじめることである。
2.世の中の変化に自分が対応しないと、破局が生じる。
3.人間は横に寝そべっていると、警戒心が薄れてよく喋るようになる。
4.相談者の話を口を挟まずにしっかりと聞き取って、理解する。
どれも勉強になったが、とくに「人間は横に寝そべっていると、警戒心が薄れてよく喋るようになる。」という理論が一番面白かった。たしかに、修学旅行とかで、夜に皆で布団に寝そべっているときに、気が緩んで、好きな子がいることを告白してしまうようなことがあると思う。
私は正直、この本の結論には感銘できなかったが、「カウンセリング」、「心の変化」というフレーズにピンときた人は読んでみてはいかがだろうか。何かしらの発見はあるかもしれない。
かしこ

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