鬼の様に強いニューヨークヤンキース

2. 社会

今年2022年のヤンキースは鬼の様に強いです。
開幕から60試合をこなした時点で44勝16敗、勝率.733。
私は2003年からヤンキースファンになり(松井選手が加入した年)、今日まで毎年試合を観続けていますが、6月中旬時点でここまで勝率が良かった年はなかったと思います。
もちろん、毎年の様に優勝を狙える布陣をスプリングトレーニングまでに組んでくるので、毎年、優勝候補に挙げられる強いチームであることには間違い無いのですが、例年のパターンとして、ヤンキースは春先はあまり調子が上がらず、4月などは勝率5割を少し超えるくらいの成績で終える年なんかもよくありました。チームの特徴としては、暖かくなってくると勝率が上がり、特に8月はとても強く、大きな連勝をして勝ち試合数を増やしアメリカンリーグ東地区の上位に定着し、地区優勝、或いはワイルドカードを狙える位置につけてくるのが、ヤンキースのここ数十年の戦績です。
しかし、今年はここまで、飛ばし過ぎとも言えるほど勝ちまくってます。何故、こんなに強いのでしょうか?

抜群に安定したピッチャー陣営

まず先発ピッチャーが抜群に安定してます。
今年の先発Pはコール、セベリーノ、タイヨン、モンゴメリー、コルテスがそれぞれにしっかり投げて試合を作ってます。特に、コルテスは素晴らしい内容で、まさかここ迄良いピッチングをするとは、ヤンキースの首脳陣も考えてなかったのでは無いでしょうか。先発ピッチャー5人が5人とも良い仕事をするなんて、あまり無い事です。うん、凄い。
中継ぎ、抑えもそこそこ安定していて、勝ち試合を壊す様な事が少ないです。これもチームの勝利に大きく貢献している部分です。ただ、クローザーのチャップマンは不安定ですね、9回にマウンドに上がってランナーを溜めて自滅することが多々あります。クローザーはチャップマンを固定というのは、今後は考慮する必要がありそうです。

ホームランもクラッチヒットも

打撃陣も素晴らしいです。
スタンディングメンバーそれぞれが本当にいい働きをしています。打率だけ見るとヤンキースには現在3割打者はジャッジしかいないのですが、得点のチャンス場面をモノにするケースがよくあります。例年のヤンキース打線の特徴として、ホームランの数は多いのですが、反面、ヒットヒットで繋げて細かく得点するスモールベースボールがやや苦手な印象があります。今年も例に漏れず、ホームランもバカスカ出るのですが、勝負所でのクラッチヒットがよく生まれています。結果、打線の繋がりがとても良く、打順が何番からでも得点ができそうな期待感があります。上位打線が湿ってる日は下位打線に当たりがあったりと、すごく良い流れです。
特にジャッジ、スタントン、リゾの中軸の活躍は素晴らしいです。他の球団のクリーンナップはよく知らないのですが、相手ピッチャーにしてみたら、ヤンキースのクリーンナップが、今は一番怖いのでは無いでしょうか。
中でもジャッジの打撃は本当に凄いです。このままいけば間違いなくホームラン王になるでしょう。エンジェルスの大谷選手とは格の違いがあります。

リストラ効果

投打にわたって好調ですから強いのも当たり前ですが、ここまでの快進撃は新加入の選手ドナルドソン、カイナーファレファ、トレビーノらの活躍というよりは、私が思うに「大きなリストラ」の効果がチームに効いてる様に思えるのです。
昨年までチームメイトでレギュラーポジションにいた、サンチェス、ボイド、アーシェラ、ガードナーがいません。
サンチェスは、ポサーダ引退後のヤンキースの生え抜き正捕手として期待されてましたが、あまり良い結果が残せず、成長もあまり見られませんでした。(むしろ若くして退化した)
元々キャッチャーとして能力、特にキャッチングに難がありパスボールをよくしていたのですが、打撃に良いものがあり、長打力を買われていました。しかし、少々ホームランが打てると言っても打率が2割前後で、肝心のキャッチャー能力が低いとなればヤンキースの正捕手は居座る続けるのは難しかったのでしょう。
ボイドも2020年のコロナ禍による60試合の短縮シーズンではホームラン王を獲得したものの、昨年は怪我で大きく出遅れ、スタメンに戻ってくるも良い打撃結果が残せず、そしてまた怪我で離脱‥‥元々打撃も、2020年の活躍はあったものの安定せず、ヤンキースのファーストを完全に任せるには微妙な選手でした(ファーストの守備はあまり上手くありませんでした)。球団としてはボイドではなくリゾを選んだということでしょう(正解)。
アーシェラはサードマンでしたが、守備はかなり上手かったです。難しい打球も処理してアウトによくしていました。打撃は良くもなく悪くもなくでしたが、反対方向に打つ技術はありました。あと、案外チャンスに強く、クラッチヒットを打てる打者だったので、個人的には三塁手のレギュラーとして期待していたので、トレードに出されて残念でした。ただ、現在のツインズでの成績を見ると、やはり出して良かったのかとも感じます。
ガードナーは唯一現役の2009年ワールドシリーズ優勝の戦士でしたが、この数年は年齢からの衰えか打率は2割代前半くらいに落ち込んでいました。ただし、センターが守れて、なんと言っても怪我の少ないタフガイでいい選手で、外野手の怪我の多いヤンキースで貴重な存在でした。現在未契約ですが、おそらく引退でしょう。

ここ数年のヤンキースには嘗てあった「王者の風格」が薄れている様に感じていました。2009年ワールドシリーズ制覇を最後に、12年も優勝から遠ざかり、ここ最近では地区優勝すらも中々届かず、ワイルドカードでなんとかポストシーズン進出する有様です。強いニューヨークヤンキースを取り戻す為に、いろいろな選手を毎年の様に獲得するも、あまりそれが戦果に表れていませんでした。
しかし、今年は足し算よりも引き算の効果である『リストラ』が、チームに良い変貌を与えたと思います。いくら強力な選手を雇っても、不要な選手が居続けては、チームは強くなれないのかもしれません。非情ではありますが強いヤンキースを取り戻す為に、今回の思い切ったトレードは仕方なかったのかもしれませんね。

かしこ

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