暑い2022年の夏もそろそろ勢いが衰えてきそうな今日この頃、夏目漱石の「こころ」を読み終わりましたので感想を書きます。
中学生の頃に読んだ記憶
この小説を読むのも二度目です。(昔読んだ本を読み返すのが好きなんです、最近)
最初に読んだは約40年前、確か中学生の頃だったと思います。はっきりとは覚えていませんが、夏目漱石の「坊ちゃん」を小学生の頃に読んで面白かったので、それでこの小説も読もうと思ったのかもしれません。
それでなんで今になって読み直そうと思ったのかというと、娘がこの小説を最近読んだと聞いて、それじゃ私も読み直してみようと考えたからです。また、文庫本のカバーが2022年バージョンなっていたのを本屋で見つけたので、余計読みたくなりました。この白いカバーがとても良い感じで、「こころ」に合っていますし触り心地もいいんです。こういう楽しさもあるから、なるべく電子書籍ではなく紙の本を読みたいですね。だけど、やはり本棚問題がありますからね〜😭
話の内容はほとんど忘れまていました。ただ、読み続けているうちに少しづつ思い出してきました。それでも重要な部分はケロッと忘れていたので、案外新鮮な気持ちで読めました。よかった、バカで😆
今は50歳を超えて深く味わいながら読めましたけど、最初に読んだ少年だった自分は、読み終えてどんな感想を抱いたのだろう? 思い出そうとするのですが、思い出せません。今と同じ様に文学として楽しめていたのなら、なかなかの文学少年だったんだろうけど😸
「こころ」は未完
読み始める前は、「また重苦しそうな小説に手を出してしまった」という気持ちでいたのですが、いざ、実際に読み進めていくと、これがどうして、なかなか面白い。どんどん読み進めていきました。あとなんか、この2022バージョンは紙の質がいいのか、文字がクッキリしている様に感じて読み進めるのが楽しく感じました。やるな、新潮文庫!
また、夏目漱石の小説は、文学小説の中でも文章が読みやすいので、読むのが苦痛になりませんでした。
全体が3区分に分かれていて、「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」で構成されてます。
主人公である「私」視点で最初の2区分が書かれていて、最後の区分は、まるまる先生が「私」宛に書いた手紙です。実に大胆な構成だと思います。
最初の2区分を読んでいて、先生の妻に主人公は恋をしているのかなと気になりましたが、それについては最後まで明かされませんでした。私が思うに、絶対気が有ったと思いますね💖
てっきり、主人公の横恋慕がテーマの話かと思いきや、そうではなく、主人公が慕う「先生」の秘密についてがメインテーマでした。最初の2区分で幾つかの伏線が張られ、最後の区分で先生の手紙によって過去が明らかになっていきます。この最後の区分こそが、この小説の全てと言って良いほど面白かったです。なので、ここまで読み進めたら一気に最後まで読みたくなる筈です。
この小説に登場する人物は、純情な「こころ」を持っています。しかし、純情であるが故に、融通が利かないので「こころ」を痛めます。不器用と言えばそれまでなのですが、なんだか共感してしまう自分が居ます。純情は美しいですよ😮💨
文末の解説を読んで知ったのですが、実は「こころ」のコンセプトは数種の短編を書いて、総題で「こころ」にする予定だったみたいです。しかし、時間が掛かりすぎてたので「先生の遺書」で連載を打ち切りにして、この「先生の遺書」を「こころ」というタイトルにして出版したそうです。つまり、最終区分の「先生の遺書」の後に、主人公のエピソードが本来は構想にあったという事ですね。確かに言われてみれば、ちょっと中途半端な完結の仕方ですからね。
もし続きが書かれていたら、主人公と先生の妻は恋に落ちていたかもしれないという、不埒な妄想をしてしまいます💖
夏に読む文学作品は、やっぱり夏目漱石が似合います。
かしこ
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