つい先日、トランプ大統領は、ハーバード大学における留学生を排除すべく大統領宣言(Proclamation)を発令しました。ただし、連邦地裁がすぐに一時差し止め命令を出したので、今のところはほとんど影響ないようです。トランプ大統領らしい、少々野蛮な施策ではあると思いますが、トランプ大統領のある発言が個人的に気になりました。それは、『留学生には米国を愛せる人であってほしい』という言葉です。
すでに30万人突破
わたしの娘の大学では、国際関係学部ということもあってか、かなり外国籍の学生が多いとのことだ。この中には、当然留学生もいるだろう。2025年現在で、およそ10%が留学生とのことだ。日本政府としては30万人の外国人留学生を目標にしているが、現在で約336,708人の留学生をすでに受け入れており、目標には達している。さらには、2033年には40万人体制を目指している。このことから、これからも外国人留学生は右肩上がりの人口増になっていくことだろう。
労働力不足の解消
なぜ政府は留学生を確保したいのか?
さまざまな要因があると思うが、一番分かりやすいのは、少子高齢化による将来の労働力不足の確保ということになるだろう。また、これも少子高齢化に直結した影響だが、大学の学生の確保という問題もある。国内18歳人口は1992年の205万人から2025年には102万人へ半減しているので、このままでは大学経営が立ち行かなくなるのは明白だ。これらの問題解決のために、外国人留学生をどんどん受け入れる必要がある。当然のことながら、少子高齢化を正す根本的な問題にはならないが、それまでの中継ぎ政策としては有効であるとは思う。
留学生の卒業後
しかしながら気になることがある。それは外国籍の留学生の卒業後の進路だ。
留学生は卒業後に日本国内、あるいは外国にある日系企業に就職してくれるのだろうかという疑問だ。2025年現在では、約3~5割程度の就職率だそうだ。つまり、約5割強の留学生は卒業後に外国企業に勤めているのだ。外国企業と言っても、留学生自身の出身国の企業に勤めるケースが大半であり、留学生の6割強が中国籍であることから、必然的に中国企業への就職がいちばん多いはずだ。
日本政府としては、外国人留学生の日本企業への就職率を50%としているようだが、この目標数字は少々甘いのではないかと思う。外国籍の学生を日本の大学で学びやすくする施策を遂行した結果、これだけの留学生を確保することができたのは賞賛できる部分だが、この学生たちが卒業後に、日本企業で働くようにならなければ、あまり意味がないのではないか。とりあえず門は大きく開いて、人をたくさん中に入れて、実際にどれくらいが残ってくれるかという実験途中なのだろうか?
日本を愛して
留学生の中には、日本の優秀な大学で学び、そして、出身国に帰り就職するという明確なビジョンを持って留学してくる学生もいるだろう。その反面、先進国である日本に憧れて、留学がしやすいという理由で日本の大学を選ぶ学生も多々いると思う。いずれにせよ、大学を卒業して、どこに就職するかの選択権は学生側にあるのだから、どの国で働こうが、まったくの自由である。しかし、日本で大学生活を送る中で、日本の文化にたくさん触れて学び、日本の友人をたくさん作って、日本という国を好きになってもらいたいと思う。そうなれば、自然と日本企業への就職率も上がるはずだ。トランプ大統領の言葉を引用するならば、『留学生には日本を愛せる人であってほしい』とわたしは願う。
かしこ
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