私は結構、読書好きである。ジャンルにはあまり拘らずなんでも読むが、やはり小説が一番読んでいて面白いが、自己啓発書系もタイトルに興味が湧くと手を出してします。
記憶に残る本、忘れる本
しかし、今までそれなりの本を色々読んできたが、その個々の本の内容をしっかりと人に説明できるものは非常に少ない。面白かった本は何度か読み直したりしたので記憶が定着してるが、私は殆ど一読しかしない(殆ど人がそうである様に)。
それでもある程度の内容を人に説明出来たり感想を言える本もある。もちろん全ての内容やストーリーを覚えてるわけではないが、その本の一番のポイントやおおよその概要、小説ならば主人公の性格や話の結末等はしっかりと覚えている。それは数十年前に読んだとか数年前に読んだとかの時間の経過はあまり関係ない。実際に数十年前に読んだ本でも覚えていたり、逆に、数ヵ月前に読んだ本でも殆ど内容を忘れてしまった本もある。
読書は人生の経験なり
内容を記憶している本に共通して言えるのは、急がずにじっくりと読んだ本が多いような気がする。ただ活字を追うだけじゃなくて、自分の脳で展開しながら納得しながら、あるいは感動しながら読んだ本は、脳に記憶されたというよりは「自分の大切な経験をした」という感覚に近い。
それは自身の知識であり大切な思い出でもある。
昨年亡くなった父が、私が小学生の時に病気して入院している時に買ってきてくれた本が夏目漱石の「坊ちゃん」と「二百十日」。この本が人生初めて読んだ小説だったが、とても面白かったことを今でも覚えている。ただ何故か病室の窓の外は曇っていて雨が降っている梅雨か初夏あたりの情景とセットになっている記憶だ。(私は中学一年の時も入院したので、もしかしたらその時の記憶だったかもしれない)
あの時の、何とも甘酸っぱい様な淡い読書体験があるからか、この梅雨の季節になると、「二百十日」を読み返したくなる事がある。それはまるで、少年の夏の日に遊んだ海の思い出をなぞる様な感覚に近い。
だから読書というのは一期一会の貴重な人生経験なのだと思う。
これからもまだまだ沢山の「自分の大切な経験」をしたい。その為には速読なんてやめてしまおう。例え一年に五十冊読めても数年後に殆ど内容を忘れてしまうようでは全くの無駄である。お金と時間の無駄な浪費に過ぎない。
これからは、ゆっくりと楽しみながら本を読むことにする。
かしこ
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