ハックニー・ダイアモンズのレビュー

4. 趣味

 およそ1ヶ月前にローリング・ストーンズの最新アルバム「ハックニー・ダイアモンズ」が発売されました。今回はこのアルバムについて語りたいと思います。

発売を心待ちにしたアルバム

 私は決してローリング・ストーンズの熱いファンではない。ローリング・ストーンズの曲やアルバムを聴きたくなるのは年に1回あるかないかくらいだ。そんな私ではあるが、このアルバムが発売されるのを楽しみに待っていたのは、先行シングル「Angry」が大変気に入ったからだ。YouTubeで聴いたのだが、曲もさることながらミュージック・ビデオもとても気に入り10回くらい観た。ビデオは女性がオープンカーに乗って街道を走っていて、街道沿いのビルの看板に往年のローリング・ストーンズのメンバーが次々と映し出されるという内容だ。最後は現在のミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ロン・ウッドが映し出されるのだが、それがまた何ともエモくていい👌
曲は、とてもワクワクするストレートなロックン・ロールナンバー。となれば、ニューアルバムは期待せざるを得ない。9月に初めて「Angry」を聴いてからこのアルバムが発売されるまで、とても長く感じた。そして、漸く10月20日になり、このアルバムを聴くことができた。期待通りと言って良いだろう、まさにロックン・ロールを地でいく内容だった。
発売を心待ちしたアルバムは久しぶりである。

贅を尽くしたアルバム

このアルバムは参加アーティストがすごいことのなっている。
11曲目の「Sweet Sounds Of Heaven」ではレディー・ガガがヴォーカルとして参加し、スティービー・ワンダーがピアノとキーボートで参加している。この二人が参加しているなんて、とてもゴージャスだ。
4曲目の「Bite My Head Off」ではポール・マッカートニーがベースを弾いてる。元ビートルズのベーシストがローリング・ストーンズの楽曲に参加しているのが不思議であり面白い。
2曲目の「Get Close」と、8曲目の「Live By The Sword」には、エルトン・ジョンがピアノを弾いている。これまた、贅沢な起用である。
そして、7曲目の「Mess It Up」と、8曲目の「Live By The Sword」は2021年に亡くなったチャーリ・ワッツのドラムをフューチャーしている。更には、「Live By The Sword」には1990年代初頭にバンドを脱退したビル・ワイマンもベースで参加している。
 これだけの一流ミュージシャン惜しげも無く起用し、さらには、過去のローリング・ストーンズのメンバーをも参加させているのだから驚きだ。
 この贅を尽くした新作アルバム「ハックニー・ダイアモンズ」からは、ただならぬオーラを感じずにはいられない。

現在進行形のロック・アルバム

 このアルバムは、かなりロックなアルバムではあるが様々なジャンルの曲が収められている。
1曲目の「Angry」は、このアルバムのリード曲にふさわしい華やかなロック・ナンバーだ。ローリング・ストーンズは今ここに見参!といった感じがする。続く「Get Close」は低重心のブルージーなロックを聴かせてくれる。次の「Depending On You」は軽やかギターリズムに乗った、どことなく哀愁があるナンバーだ。そして4曲目の「Bite My Head Off」は往年のストーンズを思わせるアップテンポなロックナンバーでグイグイと押してくる。そして、私がこのアルバムで一番のお気にいりである「Whole Wide World」へと、この勢いは続く。ロックの王道のようなこの曲からはロックの力強さを感じられる。アップテンポのロックから一転して、「Dreamy Skies」ではしっとりとしたナンバーを聴かせてくれる。続く「Mess It Up」ではダンス・ミュージックのような曲調で、これもストーンズらしさが味わえる。「Live by the Sword」ではロックにお遊びを加えた様なパーティ・ソングのようで、単純に聴いていて楽しい。次の「Driving Me Too Hard」はポップチューンなナンバーで、このアルバムの幅を広げてくれている。そして、キース・リチャーズがリードヴォーカルを務める「Tell Me Straight」は、キースのヴォーカルとキースのソロギターが堪能できて得した気分になる。そして、このアルバムのメインディッシュと言える「Sweet Sounds of Heaven」は、とても美しいゴスペル調のバラードになっている。レディー・ガガのヴォーカルはミック・ジャガーと対等に並ぶのではなく、あくまでもバックコーラスの域を出ない立ち位置に徹している。この控えめな感じが絶妙に良いと感じに仕上がっていると思う。ラストを飾る「Rolling Stone Blues」はシンプルだが深みのあるブルースナンバー。このナンバーを聴いて、このアルバムがローリング・ストーンズの最後のアルバムになるのではないかと思ったのは私だけではないだろう。ローリング・ストーンズの原点であるブルース曲に、「Rolling Stone Blues」と名付けたことを察するに、「これが俺達の全てだ!」という思いが込められていると想像してしまう。しかし、ミック・ジャガーはインタビューで、「これで最後じゃない。すでに、次のアルバム制作に着手している。」と言っていたので違うのかもしれない‥‥🤔

 本当に素晴らしいアルバムだと思う。
冒頭で書いた通り、私はあまりローリング・ストーンズをあまり深く聴いていない。だから、コアなファンからすると今回の「ハックニー・ダイアモンズ」はローリング・ストーンズを代表するには至らないアルバムと評するのかもしれない。しかし、私にはベストなストーンズミュージックだ。
私がこのアルバムを気に入った理由には、現在進行形の欧米ロックが衰退しているからというのがあると思う。60年代、70年代のロック・アルバムは漁ればまだまだ知らないのが、ごまんとあるだろが、私は今現在活躍中のアーティストを追うのが好きなのでる。ロックに元気がない今において、「ハックニー・ダイアモンズ」に出会えた事は光栄である。

かしこ

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