厚生労働省によると、現在の日本における平均寿命は、およそ男性が82歳、女性が87歳であり、平均健康寿命は、男性が73歳、女性が75歳です。
WHO(世界保健機関)などの国際統計によると、男女混合 of 平均寿命は国家単位で世界1位であり、平均健康寿命も同様に世界1位です。
まさに、日本は長寿国家です。
これだけ平均寿命が高いと、私は高齢者に対して「まだまだ大丈夫、元気でいられるよ」や「弱気になってはダメ、がんばらなくっちゃ」という前向きな思いを抱いていた。しかし、その考えは間違っているのかもしれない。
まず、町中や公園でウォーキングなどをしていたり、飲食店で楽しそうに談笑している高齢者の姿は、日常的と言っていいほどよく目にする。これらを見て「ああ、最近のご老人たちは本当に元気だな」と感じるが、実は、これは大きな勘違いをしている。大半の高齢者は、外出する元気がなく家に閉じこもっている、または、介護施設に入居しているので、そもそも目にすることがないのだ。最近の高齢者は元気であるというサンプリングバイアスの罠に陥った認識なのだと思う。
日本国の平均寿命が高いのは、公衆衛生(上下水道など)が整備されている、健康診断や人間ドックの普及による難病の早期発見・早期治療、そして、食生活の豊かさによるところが大きい。しかし、著者:萬田緑平さんは、新書『棺桶まで歩こう』のなかで、「日本は諸外国に比べ、患者をなかなか死なせない国である」と書いているように、日本は延命治療が実に盛んなのである。このことから、平均寿命を延ばしている要因のなかに、延命治療による影響があることを忘れてはならない。
「がんばりましょう!」は禁句
最近、私の母(81歳)に元気がない。年相応に身体のあっちこっちにガタが来ているようだ。先日も歯茎の検査をしたところ医者から「癌の可能性がある」と言われかなり落ち込んでいた。これについては、検査の結果、おかげさまで癌ではなかったのだが母は気落ちしたままである。癌ではなかったのだから安心していいはずなのだが80歳を超えた高齢者には、そう単純な思考にはなれないようだ。母を勇気づけようと、今まで幾度となく「元気にがんばって!」的なことを助言してきたが、これはあきらかにミスである。なぜなら、母の年齢は平均健康寿命を優に超えているからだ。
高齢者に容易く「がんばりましょう!」と言うのは、実はとても残酷で思いやりのない言動だと最近気がついた。まだ60代くらいの方が病気であったとしたら、たしかに勇気づける言動もいいだろう。しかし、平均健康寿命を超えている高齢者に対して勇気づける行為は傲慢であり欺瞞である。そう、高齢者の方は、別にがんばる必要などないのだ。
元気な高齢者もたしかに実在するが、大半はそうではない。ならば、年相応に弱くていいではないかと思う。また、そうなるのが自然の摂理だと思う。「ピンピンコロリ」で死にたい!とよく言われるが、おそらくそんな死に方はない。死に至る病に冒されれば誰だって元気でいられなくなるし、仮に90歳まで生きたとしても認知症になってしまっては、本人も親族もとても苦しむことになる。長生きすることが必ずしも幸福とは限らないのである。
これからは、高齢者に対して「心と体が弱るのは当然だから、がんばことは、もう、しなくていいよ。」という気持ちで接しようと思う。それこそが、「人間よろしく思いやり」の解脱精神ではなかろうか。
かしこ

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